腰が重いおはなし
私は腰が重い。
あれこれ考えるからだ。
1つの点から何本もの線をひく。
枝分かれした線は細胞のように広がり、虚像が出来上がる。
中島らものエッセイで(見すぎる人)の話を聞いたことがある。その人は一点を見すぎるあまり立てなくなることがあるという奇妙な話。
見すぎるとはズームしすぎるという意味らしく、タトエバ人の顔でも皮膚を見すぎてしまうとそこはクレーターだらけの面に過ぎなくなる。顔という認識がこわれ、凹凸が無限に続く空間となり足元がすくむ。
なるほどこの感覚に近い。
頭のなかで出来事をズームし過ぎるあまり、俯瞰してみえる実態がなくなり、途端に怖くなる。
SMAPの中居くんもこんなことを言っていた。「僕たちのことをあんまりじーっと見ないで下さい。ぼやーっとなんとなく見てください。なんとなくSMAPがあるだけなんでよ。よくよく観察しちゃうとばれちゃうので。」
物事を把握するには距離が必要だ。
なんとなくぼやーっとみたほうがいい。