共謀罪を作るのはそんなにヤバい?
危険だ!みたいな風潮が流れている「共謀罪」について、
分かんないので調べてみました〜。
そんなにやばいのか??
(注!反対派の意見まで読む事をお勧めします!前半の説明は法務省の考えが中心となっており、客観性が充分ではいない恐れがあります。。。)
なぜ共謀罪をつくるの?
目的は?
目的に関して、法務省のホームページでは国連総会にて採択された「国際組織犯罪防止条約」に日本も加入することが重要であり、その加入条件として共謀罪(又は参加罪)の法整備が必要であるため、という説明がされています。*1
「国際組織犯罪防止条約」とは、国際的な組織犯罪の防止等に関して各国の協力を推進する目的で作られた条約であり、2016年12月20日現在の締約国は,187か国・地域となっています。*2
日本の現行法上で類似している「組織的犯罪処罰法」では、犯罪が実行されなくては処罰できないのに対し、共謀罪を新しく作る事によって、実行される前の共謀段階での検挙・処罰が可能となります。
以上のこのことから、国際的な組織犯罪防止等の条約を締結するためにも「共謀罪」を新たに新設し、「組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪から国民をより良く守ること」が目的と考えられます。
(まあ、国際的なテロ組織とかの活動はなんとかしたいよね。。。)
共謀罪の内容は?
法務省が作成した法律案の条文を載せると、
「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。(後略)」
要するに犯罪行為に関して「共謀」したらダメよっていう意味。
そしてこの点がおそらく最も重要だと思いますが、この法律が適用される
【団体】と【共謀内容】とはどのような意味なのか。
それぞれ法務省の法案やホームページでは以下のような説明がありました。
共謀罪が適用される「団体」とは?
組織的犯罪処罰法の第二条に「団体」の定義が載っています。*4
この法律において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるものをいう。
あくまで「指揮命令に基づき」行動し、その行為が「反復」して行われている団体を指しており(例えば暴力団)一時的な人の集まり、組織に属していない活動は含まれていません。
共謀罪が適用される共謀の「内容」とは?
先ほどの法務省の法律案の続きを載せると、以下に該当する内容を共謀した場合
処罰されると書かれています。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪
二年以下の懲役又は禁錮
よくわからん。
先に挙げた法務省のQ&A、Q3の回答では
死刑,無期又は長期4年以上の懲役又は禁錮に当たる重大な犯罪に限定されています(したがって,例えば,殺人罪,強盗罪,監禁罪等の共謀は対象になりますが,暴行罪,脅迫罪等の共謀では,本罪は成立しません)。
とのこと。
最後に具体的な適用事例の表を載せます。
(法務省2017年2月現在法務省:「組織的な犯罪の共謀罪」に対する御懸念について
組織的な犯罪の共謀罪 ~ 対象となり得るケース・ならないケース ~
http://www.moj.go.jp/content/000003506.pdf)
問題点・懸念点は?
反対派の意見(日本弁護士連合会の意見)
日本弁護士連合会では法務省の記述に対して、批判・反論を詳しく書いています。
2点だけ簡単に紹介いたします。*5
- 国際組織犯罪防止条約の加入に新設が必要という説明がありましたが、その必要がなく、既存の法律や事例の解釈によっては加入できるのではないか。
アメリカ合衆国は、州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があるとして国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため、留保を行っています。
-
共謀罪を実質的に取り締まることを考えた場合、所謂、監視やおとり捜査等の規制の緩和が必要とならざるを得なくなるのではないか。
個人的にはこの反論をみて、法務省の共謀罪をつくる理由の説明は今後もっと必要になると思いました。この条約へ加入する為に本当に新設しなければならないわけではなさそうですし。。。となるとどうして新設したいのか、、、と勘ぐってしまいますよね!
まとめと雑感
「共謀罪」は国際的な組織犯罪をより防止する上で新設する必要がある、
という法務省の意向があるが、その理由の説明や捜査権や処罰が広範囲に及びすぎる危険性についてまだまだ議論すべきかな〜っておもいました。
*2:国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(略称:国際組織犯罪防止条約) | 外務省
*3:法務省/犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
16ページ目http://www.moj.go.jp/content/000008362.pdfとあります。
*5:日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:日弁連は共謀罪に反対します(共謀罪法案対策本部)